| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-183 (Poster presentation)
ショウジョウバエ-捕食寄生蜂系では,異なる遺伝子型をもつ宿主集団あるいは系統間で寄生蜂の寄生成功率が異なることが知られており,宿主の細胞性免疫による寄生蜂抵抗性の変異が寄生成功率に大きく影響することが明らかにされている.また,系統的に離れた宿主種間では寄生蜂の寄生成功率が大きく異なることも知られており,宿主の発育特性や体サイズといった免疫特性以外の要因も寄生成功率に影響を及ぼすと考えられる.しかし,捕食寄生蜂の寄生成功率に影響する宿主の遺伝変異をゲノム網羅的に検証した研究はこれまで行われていない.本研究では,キイロショウジョウバエとその幼虫に寄生する捕食寄生蜂を研究材料に,ゲノムワイド関連解析を行うことによって,宿主の1塩基多型(SNP)が捕食寄生蜂の寄生成功率に与える影響をゲノム網羅的に検証した. 2種の捕食寄生蜂Asobara japonicaとAsobara pleuralisを全ゲノム解読済みのDrosophila Genetic Reference Panel系統およそ70系統に寄生させ,各系統を宿主として利用した場合の捕食寄生蜂の寄生成功率を調べた.その結果,両種の寄生成功率には宿主系統間で変異が存在していた.本発表では,これまでに得られたデータから,寄生蜂の寄生成功率と関連する宿主のSNPを推定し,宿主のどのような遺伝子が捕食寄生成功率に影響を及ぼすかについて考察する.