| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-235 (Poster presentation)

小笠原諸島における土壌かく乱とその後の土壌特性の回復

*平舘俊太郎(独農環研), 畑 憲治(首都大・理工), 可知直毅(首都大・理工)

小笠原諸島では、野生化したヤギにより土壌侵食が引き起こされたが、ヤギ駆除後10年以上経過しても植生が回復せず裸地が維持されている場所がある。これは、強酸的かつ貧栄養的である下層土がむき出しになったためと考えられる。本研究では、これら下層土の土壌特性が回復するプロセスを明らかにするため、母島に存在する塹壕(ざんごう)跡の土壌特性を調査した。塹壕は、第二次世界大戦中に作られたものであり、現在までに土壌特性がどの程度回復したかを見積もることができると期待される。調査の結果、塹壕斜面は現在でも強酸的かつ貧栄養的であり植生回復が困難であると考えられたが、塹壕底面では表層土に近い土壌特性となっており植生回復が見込めると考えられた。このように、土壌特性の回復には微地形が強く影響を及ぼしており、傾斜の大きい斜面では植生回復が難しいこと、リターや表面流去水が集まる窪地では表層土的特性に急速に回復すると考えられた。


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