| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-003 (Poster presentation)

阿蘇地域の植生の異なる放牧地における節足動物相の種構成と個体数の推移

*玉川佳樹(東海大・院),村田浩平(東海大・農),工藤寛生(東海大・院),森友靖生(東海大・農)

阿蘇地域の植生の異なる2か所の放牧地(半自然草地と自然草地)において,土壌および地上徘徊性節足動物相の種構成と個体数の推移を異なる3つの調査法により比較した.調査地は,シバZoysia japonica,ネザサPleioblastus chino var. vivridisが自生する半自然草地(調査地A)とネザサ,ススキMiscanthus sinensisが自生し二次林に隣接する自然草地(調査地B)の2か所とした.①ベルレーゼ法では,調査地Aの種多様度指数は,調査地Bに比べて高かった.総個体数は,調査地Aで517個体,調査地Bで1,733個体であり,3月下旬に最も多かった.両調査地とも最優占目はトビムシ目Collembolaであった.②コドラート法では,種多様度指数は,ベルレ-ゼ法とは逆に調査地Bで高かった.総個体数は,調査地Aで1,166個体,調査地Bで1,422個体であった.両調査地とも優占科はシマウンカ科Meenoplidae,コモリグモ科Lycosidaeであった.③ホールトラップ法では,種多様度指数は調査地Aで高く,総個体数は,調査地Aで2,254個体,調査地Bで1,333個体であった.以上のことから,放牧圧の違いによる草原の植生の違いによって,地上徘徊性節足動物相に大きな違いは見られなかったものの,地表部,地中,草間など生息場所による個体数に差が見られることが明らかとなった.また,野外観察の結果から,阿蘇地域の放牧地においてトビムシ目は,土壌分解者であることに加え,捕食性昆虫,クモの重要な餌昆虫となっていることが示唆された.


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