| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-006 (Poster presentation)

環境DNA分解速度の温度依存性

*辻冴月(龍谷大院・理工), 櫻井翔, 山中裕樹(龍谷大・理工)

環境DNA法を用いた水生大型脊椎動物検出に関する研究が注目を集めている。しかし、環境DNAには未だ不明な点が多く、基礎的知見を蓄積することは今後の環境DNA研究にとって急務である。環境DNAは生物から放出されたのち、時間経過とともに分解されることが知られている。そこで、本研究では水温による環境DNA分解速度の違いおよび微生物による環境DNA分解への影響を明らかにすることを目的とした。

水温と環境DNA分解速度の関係を明らかにするために、野洲川(滋賀県)の表層水を採水し10,20,30℃でインキュベートした。採水直後および1,3,6,12,24,48時間経過ごとの各試料水に含まれるコイCyprinus carpioおよびアユPlecoglossus altivelisの残存DNA量を温度ごとに比較した。結果、環境DNA分解速度には温度依存性がみられ、Thomsen et al. 2012をもとに、時間経過と水温を考慮した環境DNA分解非線形モデル式を作成した。

環境DNA分解速度の温度依存性を引き起こす原因に、水温による微生物量増加が考えられる。そこで、微生物によるDNA分解への影響を調査するために、コイが入っていない水槽の飼育水にコイ肉片由来の精製DNAを添加し、添加直後および10,20,30℃で12,24時間インキュベート後の試料水に含まれるコイ残存DNA量および微生物量を測定した。微生物量の測定は標準寒天培地による一般細菌培養で行った。結果、残存DNA量は時間経過に伴って減少し、その減少割合は高温条件でより顕著で微生物量も多かった。この結果は微生物が環境DNA分解に強く関わっていることを示唆する。環境DNAの分解速度は低温で遅くなることから、定量的な分析の際には水試料を低温保存するのが好ましいと考えられる。


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