| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-045 (Poster presentation)

栃木県奥日光と長野県八ヶ岳東部のカラマツ人工林におけるコウモリの種構成

*小松茉利奈(筑波大学・生命環境),家根橋圭佑(筑波大学・生命環境学群),安井さち子(つくば市大角豆),上條隆志(筑波大学・生命環境系)

樹洞などの樹木をねぐらとするコウモリは自然林に多く生息するとされ、自然林の保護の重要性が指摘されている。しかし、現在国内に残る自然林は少なく、これらの種のより有効な保全のためには、森林面積の4割を占める人工林にも着目し、生息地として評価する必要があると考えられる。しかし、人工林に関しては研究例が少なく、その評価は不十分である。そこで、本研究では、栃木県奥日光及び長野県八ヶ岳東部地域において、カラマツ人工林を対象としてコウモリ相を把握することを目的とした。調査地である奥日光地域は人工林と自然林がモザイク状に位置し、八ヶ岳東部地域は人工林が自然林を取り囲むように位置している。また、奥日光地域においては、これまでに自然林と人工林での捕獲数の比較がなされ、人工林で種数・捕獲数が少ないことが示されている。2014年6月下旬から9月中旬に各調査地毎月2~3回、かすみ網による捕獲調査を日没後6時間行った。捕獲結果は、奥日光地域6地点で5種21頭、八ヶ岳5地点で5種11頭であった。調査地別の捕獲結果は、奥日光地域でニホンウサギコウモリ10頭、コテングコウモリ3頭、ヒメホオヒゲコウモリ、モモジロコウモリ、テングコウモリ各2頭、Myotis属sp1及びsp2各1頭であり、八ヶ岳東部地域ではニホンウサギコウモリ7頭、クビワコウモリ、コテングコウモリ、キクガシラコウモリ、カグヤコウモリ各1頭であった。ともにニホンウサギコウモリが最も多く捕獲されており、カラマツ人工林のコウモリ相の共通の特徴である可能性がある。


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