| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-152 (Poster presentation)

熱帯林モザイクにおける時間‐空間マトリックスに基づくバイオマス・生物多様性の広域定量化

*藤木庄五郎,西尾尚悟,岡田慶一,長野秀美,北山兼弘(京大・農・森林生態)

現在、熱帯林の大部分は二次林として成立している。中でも焼畑に由来する二次林は、遷移段階の異なる植生がパッチ状に分散したモザイク状の森林として成立することが多い。このような熱帯林モザイクの炭素蓄積量や生物多様性を広域に評価・管理していくには、現地調査と衛星リモートセンシングを融合させ、森林生態系を景観レベルで評価する必要がある。以上を可能にするため、本研究はマレーシア・ボルネオ島北部にある、キナバル国立公園とクロッカー山脈国立公園の2つの保護区の間にある焼畑二次林地域に着目し、以下3つの目的に基づき行われている。1)熱帯林モザイクの齢(焼畑からの遷移年数)を推定するアルゴリズムの開発:焼畑起源の二次林の齢を同定し、齢に基づいて植生パッチを分類する手法を開発する。2)熱帯林モザイクの齢依存的な属性(バイオマスや生物多様性)の広域評価:1)により得られた森林の齢情報と、空間条件(標高や原生林からの距離など)に基づき、熱帯林のバイオマスや生物多様性を景観レベルで評価する。3)任意の将来の森林回復予測:1)2)の結果をさらに発展させ、衛星画像上で時間軸の値を任意に変化させることで森林の将来の回復を予測する。本研究では、1)~3)の結果から、様々なシナリオ(焼畑の周期や強度、実施場所を変える)の森林回復を予測し、地域全体の炭素蓄積量・生物多様性を高めるのに最も効果的なシナリオについて考察を行う。それにより、焼畑に利用する土地の優先順位や適切な焼畑周期を割り出し、現地住民の生活と生物多様性の最大化を両立する森林管理を検討する。


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