| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-040 (Poster presentation)

里山の地表徘徊性甲虫群集モニタリング

*渋谷園実, 福田健二(東大院・新領域),桐谷圭治(伊東市)

地表徘徊性甲虫類は地表を主な生息場所としており、その地の環境に鋭敏に反応する。また甲虫類には捕食性のものが多くいることから、その地の生物相を反映するとされている。これらの点から、海外ではいち早くモニタリングに活用されており、日本でもモニタリング(環境省)が開始されている。都市近郊の里山である千葉県柏市の大青田の森においてNPO法人ちば里山トラストの協力の下、里山の甲虫群集の長期的モニタリングの準備を整えつつある。本研究では、その科学的支持基盤の構築を目的とした。

里山は日本における「生態系」レベルでの重要な構成要素のひとつであり、そこでは里山特有の生物相が維持されてきた。しかし里山の管理放棄が進み生物多様性の低下が懸念されるため里山の生物多様性を維持しようと市民団体による里山管理が行われることになった。そこで、管理が生物相に与える影響を長期的に把握するために樹木の間伐・下刈りをふくむ短期的実証実験を実施した。さらに今後の長期的モニタリングに備えて、その体制の整備を以下のように行った。1)定点トラップの設置 2)調査マニュアルの作成(手法統一のため) 3)ミニ図鑑の作成(市民による種同定を可能とするため、類似種との区別点などを図鑑レベルよりも詳細に掲載) 4)標本セットの作製、また5)調査結果を読み解くために必要な甲虫各種の生態的特性(食性、移動分散能力、季節消長、生息地選好性)調査である。それらの特性について、今回大青田で捕獲した種について結果を紹介する。


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