| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-050 (Poster presentation)

淀川点野ワンドにおける洪水攪乱前後の魚類群集の変化

瀧口聖士,*石田裕子(摂南大理工),内藤馨,川瀬成吾(大阪府水生生物センター)

淀川水系では,2013年9月の台風18号により,河川の氾濫で517,818人に避難勧告がでるほどの被害が発生した.また,淀川本川中流域の点野ワンドでは,洪水攪乱でワンドの植物,魚類の多くが流された.また,2014年8月にも台風11号が発生し,点野ワンドが水没した.本研究では,これらの洪水攪乱前後の点野ワンドの魚類群集を調査し,洪水攪乱が魚類群集に与える影響を明らかにした.

地曳網を使用し,2012年7-9月に1回魚類を採集した.2014年は,月に1度3回採集した.ワンドで採集した魚類は,体長を測定した後,外来種はその場で処分し,在来種はワンドへ放流した.2012年の結果と2014年の結果を比較した.

洪水攪乱前の2012年7-9月は,7種68個体が確認された.洪水攪乱後の2014年7月は7種144個体,9月は14種607個体が確認された.2012年の在来種は5種,2014年7月は5種,9月は11種が確認された.外来種の割合は,2012年7-9月は57.4%,2014年7月は58.3%,9月は14.2%だった.外来種は,ブルーギル,オオクチバス,2014年9月はタイワンドジョウが確認された.オオクチバスは毎回確認された.在来種は2012年7-9月にオイカワ,ハス,コウライモロコ,モツゴ,ニゴイ類,2014年7月はワタカ,ハス,オイカワ,カマツカ,ニゴイ類,9月はフナ類,カネヒラ,ハス,オイカワ,モツゴ,カワヒガイ,ヨドゼゼラ,カマツカ,ニゴイ類,コウライモロコ,ボラが確認された.2012年7~9月と2014年7月の結果から,2013年の洪水攪乱後,約1年以内は魚類群集が回復したと考えられる.2014年8月の中規模攪乱後,カマツカとニゴイ類の個体数が増加したことから,点野ワンドは攪乱によってこれらの魚種が好む砂底に底質が更新されたと考えられる.


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