| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-081 (Poster presentation)

ミナミノシマゴミグモの体色変異とその季節間変動

*繁宮悠介(長崎総科大・環境・建築), 中田兼介(京都女子大)

ミナミノシマゴミグモは、直径20cm程度の円網を張る小型のクモで、その網の上に餌生物の死骸を紐状(ゴミリボン)にして付けておくという特徴をもつゴミグモ類の一種である。本種の成熟したメスの体長は約6mmで、腹部背面は黒色、茶色、黄土色、銀色などが複雑に入り交じる模様があり、個体ごとに変異が見られる。この研究では本種における腹部背面色を数値化して解析することにより、個体変異とその季節間変動を明らかにする。

長崎市稲佐山で2014年5月から11月にかけて7回の調査を行い、各調査ごとに幼体を含む約100個体の腹部デジタル画像と体サイズ、性別、成熟度のデータを得た。サイズクラス間の比較から、個体成長に伴う模様の現れ方を明らかにした後、腹部の多点からRGB値を抽出し、①個体内での色の分布、②個体間変異の法則性の検出とタイプ分け、③タイプ頻度の季節間変動を明らかにすることを試みた。

個体成長に伴う模様の現れ方は、孵化時には銀色だったものが、徐々に黒と銀のまだらになり、最終的に銀色は特定部位にだけわずかに残り、黒色、茶色、黄土色などが多くなることが分かった。個体内での色の分布調査から、線状に残る銀色部によって黒や茶色などの4領域に分けられることが明らかになった。個体間変異においては、各個体に共通して黒色になりやすい領域がある一方で、個体ごとの変異がでやすい領域があった。その変異の個体群内での出現の仕方は連続的であったが、数値化により3クラスに分けたところ、各クラスの出現頻度の季節間変動と、体サイズや光環境が季節感変動に与える影響を調べることが可能になった。

これらの調査結果から、本種の色彩変異が持つ生態学的重要性と、網上のゴミリボンとの関係、他のゴミグモ属クモ類との関係性などを検証する。


日本生態学会