| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-086 (Poster presentation)

巨大なコロニー集合を形成するチビアシナガバチRopalidia plebeianaの個体群遺伝構造

*諸岡歩希(茨城大・理)

アシナガバチ亜科は約800種からなり社会性狩蜂のなかでも巨大な群であるが、そのなかでもチビアシナガバチ属Ropalidiaは約200種を擁し、アシナガバチ属Polistesと並ぶ最大の社会性カリバチ属である。前者は旧世界の熱帯・亜熱帯に分布が限られるが、汎世界的分布をする後者に比べて多様な生活史形質が見られる。Ropalidiaのうちオーストラリア固有種のR. plebeianaは温帯に分布する数少ない種のひとつであるが、数百にものぼるコロニーからなる大集団を橋の下などに作ることで知られる。ニューサウスウェールズ州南東海岸域では、このような集合巣が各地に点在している。本種の営巣は越冬明けの創設メスが母巣集合に戻り、古巣を再利用することで行われるが、それぞれの巣はスーパーコロニーではなく各巣が独立したコロニーによって占められ、コロニー間の軋轢も強い。よってR. plebeianaのコロニー集合における創設メス間の血縁関係や交尾行動、交尾回数,コロニー内の血縁度などについて遺伝マーカーを用いて調査することで個体群内あるいは個体群間の遺伝構造を明らかにし、多数のコロニー集合の成立要因について考察した。


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