| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-110 (Poster presentation)

アカハライモリは危険なエサ:シマヘビは咬みつく前に認識する

*吉村友里(九大院・農),粕谷英一(九大・理・生物)

アカハライモリは致死性のテトロドトキシンを含む分泌物を持ち、腹部の赤色は捕食者に対する警告色と言われている。本種と同所的に生息する捕食者のシマヘビはカエルや小型哺乳類など幅広いエサを食べるが、その胃内容物に本種は含まれていない。だが、誤ってアカハライモリを飲み込んだとみられるヘビが死亡した例が報告されており、危険なエサであるアカハライモリをシマヘビが何らかの形で回避していると考えられた。だが、アカハライモリと遭遇した際に、ヘビがどのように本種を回避するか検証されていない

そこで本研究では、野外で捕獲したシマヘビにアカハライモリを与え,その様子を観察した。その結果、すべてのシマヘビがアカハライモリに咬みつかず、コントロールとして与えたトノサマガエルには全て咬みついた。また、シマヘビがアカハライモリに接近した割合はトノサマガエルに接近した割合よりも低かった。したがって、シマヘビはアカハライモリに咬みつく前にその危険性を認識でき、接近や接触を回避したと考えられた。アカハライモリがシマヘビに対して腹部の赤色を見せることは無く、シマヘビが舌出しを繰り返していたことから、においが捕食回避に関係していることが示唆された。


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