| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-150 (Poster presentation)

経済価値を考慮した資源管理に関する考察

岩田繁英(海洋大・生物資源),上原隆司(静岡大・システム)

漁業では複数の漁場を選択し漁獲量を増やし利益を最大化する努力を行う。すると利益を最大化するためには単位漁獲量の価格が重要となる。漁獲物の価格は漁獲物の量、質により決まる。漁獲物の量は資源量または来遊してくる資源量に依存して決まり、漁獲物の質は漁法・魚の処理方法や漁獲量に依存して決定する。資源動態,漁獲行動,単価の決定には関係があるといえる。しかし,輸入を行う魚種や同じ魚種でも漁獲時期が異なる等々現実には価格決定のメカニズムが複雑に絡み合っている。本発表ではこれらの状況を単純化したモデルを構築し解析した上で考察を行う。

利益の最大化をするにしてもいくつか基準があるだろう。利益がすべて自分の収入となる場合には、漁業者自身の利益(私的便益)を最大化する意識が漁業者に働くであろう。プール性のように利益をいったん回収し漁業者に再配分する場合であれば、全体の利益(社会的便益)を最大化する意識が漁業者に働くであろう。そこで最適化する際の指標として私的便益,社会的便益の二つを取り上げる。加えて漁獲の効果は次のタイムステップにまで影響するはずである。その点についても検討することで資源管理と漁船配分という観点から考察を進めていく。

本発表では,簡単のために2つの漁場に対してどのように漁船配分を行えばいいかモデルを構築して考察する。本モデルでは2つの漁場に限られた漁船を配分する問題を考える。各漁場で取れた漁獲物は市場に集められ価格が決められるとする。その際に各漁場における漁獲物の質への影響を考える。漁獲物は一隻辺りの漁獲物が増えればスレや身焼けにより質が低下すると考えられる。更に、資源量の変動によって漁船配分にどのような影響があるか、また漁船配分により資源を管理することができるかどうかについて考察する。


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