| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS06 (Poster presentation)

揖斐川水系支流におけるイワナとアマゴの属間雑種の解析

*丹羽大樹, *後藤曉彦, *三輪直生, 石田瑞生, 磯貝涼介, 高木悠, *林俊輔, 増田綾香, *村瀬希, 浅野綾香, 江崎正英, *神戸朱琉, *久冨匡晧, *小島瑳希子, *後藤那月, *佐賀美月, 澤田浩菜, *高山あまね, *前田晃太郎, *松井斗希, *森本早稀 (岐阜県立岐阜高等学校)

岐阜県内の揖斐川水系粕川の支流において,背部に虫喰い様の黒い斑紋を有するサケ科魚類が多数確認された。私たちは,このサケ科魚類を斑紋異常個体と呼び,同河川に生息するイワナとアマゴの交雑種ではないかと考え,様々な観点から解析を行った。

生態については,分布と生息環境の調査,現地漁業協同組合へのヒアリングを,形態については,外部形態の主成分分析,生殖腺体指数(生殖腺重量/体重*100),精巣組織のパラフィン切片像の比較を,遺伝子については, ミトコンドリアDNAの部分塩基配列と核DNA短鎖散在反復配列のPCR増幅断片長の比較,サケ科性決定遺伝子の有無による雌雄の判別を行った。

これらの解析の結果から,斑紋異常個体はイワナ雄とアマゴ雌に由来する一過性の交雑種であり,生息に適さないイワナ生息域へのアマゴ放流に起因する可能性が示唆された。また,オスの配偶子形成について,精原細胞の段階からは進行するが,精子形成には至っていないという知見を得た。しかし,メスについては卵を全く持たない個体と,少数ではあるが卵を形成している個体が見られ,今後この現象について研究を深めていきたい。


日本生態学会