| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS12 (Poster presentation)

寺社の爪痕調査からみた新宿区における食肉目の生息状況

*角田周平, *河野哲, *縄田一樹, *沖田嵩樹, *吉野舜太郎, *大塚悠宇馬, *黒田峻平(海城中学高等学校)

近年、食肉目の動物による木造建築や農作物への被害が問題となっている。この背景には、侵略的外来生物であるアライグマが競合する生物のニッチを奪い、ハクビシンなどの生態を変化させたことがあるといわれている(古谷,2013)。だが都心部での調査は前例がないため、本研究では新宿区における食肉目の動物の分布状況と好んで生息する環境の関係を種ごとに明らかにすることを目的とした。これが判明すれば、効率的な防除が可能になると考えられる。動物の分布の調査には、寺社の建造物についた爪痕などの痕跡から動物の生息状況を調べる「爪痕調査」という手法を採用した。また環境省発表の植生図などを用いて区内の環境の調査も行い、これら二つの調査の結果を照合してQGIS上で両者の関係について考察した。新宿区内の113棟の寺社を調査した結果、30棟の神社で食肉目の動物の痕跡が確認された。内訳としては、食肉目の動物が現在訪問している寺社は、ハクビシンで16棟、アライグマで1棟存在した。また、過去に訪問していた寺社は、ハクビシンで13棟存在し、アライグマでは存在しなかった。ハクビシンの分布は河川などの水辺付近で多くみられる傾向があった。


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