| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


シンポジウム S04-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

化学合成細菌の群集間相互作用と共存のメカニズム

瀬戸 繭美 (奈良女・理)

生態系機能の評価は物質やエネルギー流によって評価され、特に一次生産量のような炭素の流れが重要な指標として用いられてきた。しかしながら、生態系は炭素を含む様々な物質の循環によって支えられているため、多様な物質循環経路に着目することで生態系や生物群集構造を理解する新たな理論的枠組みを与えることができるかもしれない。化学合成細菌群集とは電子移動を伴う化学反応(e.g., 好気呼吸、硝化、鉄酸化)からATPを生成するためのエネルギーを得ることで代謝を行う微生物群である。光合成微生物が炭素循環を駆動する重要なエンジン部分を担う一方で、化学合成微生物群は炭素を含む数多くの物質循環を駆動する。つまり、化学合成細菌は生態系における「隠れた生産者」として生態系機能を支える役割を果たしてきた。本講演では化学合成細菌群集の進化が物質流に寄与し、細菌群集構造の安定化に影響する可能性について、理論研究に基づき考察する。


日本生態学会