| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


シンポジウム S07-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

経済・社会における生物多様性の主流化に向けた政策の動向

*岡野隆宏(環境省),笹渕紘平(環境省)

「生物多様性国家戦略2012-2020」の基本戦略の1番目は「生物多様性の社会における主流化」である。主流化とは「生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が地方自治体、事業者、国民などにとって常識となり、それぞれの意思決定や行動に反映されること」をいい、この実現に向けて、広報・普及啓発の推進、各主体間が連携した取組の推進、生物多様性地域戦略の策定等の促進、生物多様性の経済的な価値の普及、教育・学習・体験の推進、消費行動の転換の提案等に取り組むこととしている。

また、基本的視点では、直接お金に換えられない生物多様性の恵みの価値を認識した上で、生物多様性への配慮を社会経済的な仕組みの中に組み込んでいくことが重要としている。

これらを踏まえ、環境省はUNDB-J(国連生物多様性の10年日本委員会)を通じた広報・普及啓発、事業者の優良な取組事例の把握と広報、経済価値評価などに取り組んできた。この結果、事業者の関心が高まり、多様な主体の連携が進むなど、生物多様性保全の取り組みは進展しているものの、平成26年に行われた世論調査では、COP10を契機に上昇した生物多様性の認識度が下がっていることが明らかになった。

今後、経済・社会における生物多様性の主流化を進めるためには、生物多様性の価値を様々な軸でより多元的に可視化するとともに、これまでの成果を組み合わせて社会経済的な仕組みを構築していくことが望まれる。本報告では、環境省のこれまでの取組と今後の方向性について話題提供し、主流化に向けて生態学が果たす役割について議論したい。


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