| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
シンポジウム S07-7 (Lecture in Symposium/Workshop)
著者等は環境社会学、社会心理学、環境政策論の専門性から保全生態学研究にアプローチしている。本報告は「生物多様性保全の主流化には生態系サービスの実感・可視化が有効ではないか」という仮説に基づき、著者等が開発した自然体験教育プログラム及び教育効果の評価手法を事例に、大学が高等教育機関として果たす役割について考察する。報告内容は(1)教育プログラムの開発過程・結果、(2)教育効果の評価手法の開発過程・結果、(3)生物多様性保全の主流化にむけた保全生態学教育の課題である。
(1)自然体験教育プログラムは二宮咲子が主幹しNPO法人自然体験教育センターの齋藤新氏と共同開発した。青年層向けのプログラムは国内でも類例が少ない。また、自然科学的知識や技術の獲得を第一義とせず、「アクティブ・ラーニング」と「協働性」を重視して開発した点に本プログラムの特徴がある。
(2)教育効果の評価手法は定量的評価を今井葉子、定性的評価を二宮咲子が主幹し、両者が共同開発した。定量的評価では保全行動意図に至る意思決定モデルを参考に「社会的規範」「コスト感」「行動意図」の項目からアンケート調査を設計し、プログラム前・合宿実習時・プログラム終了時の計3回実施した。定性的評価では環境社会学の質的調査手法を参考に全工程を参与観察した。「豊かさ」がテーマのワークショップでは参加学生の言動を音声・映像情報としても記録・収集し、評価対象とした。
(3)保全生態学教育の課題は相川高信が主幹した。欧米等の動向からは社会科学的知識、コミュニケーションやチームビルディング能力の必要性が指摘でき、人材育成の観点から、自然体験教育プログラムの可能性と課題を考察する。