| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
シンポジウム S09-3 (Lecture in Symposium/Workshop)
植物の種多様性の増加は、ボトムアップ効果を通して生態系機能を増加させることが理論的に予測されている。しかし、落葉落枝などのリターを基点とした腐食連鎖において、リター分解者の種多様性が高次捕食者へのエネルギー流量に与える影響はよくわかっていない。
本発表では、ため池に生息するイトミミズなどのリター分解者の種多様性が資源-捕食者間のエネルギー流量に及ぼす影響を明らかにした事例を紹介する。リターから捕食者へのエネルギー流量は、炭素・窒素安定同位体比をもとにベイズ推定モデル(IsoWeb)を用いて、リター由来の餌資源が各捕食者に寄与する割合を計算することにより求めた。その結果、リター分解者の種多様性と個体数が高いほどリター由来の餌資源が捕食者に寄与する割合は増加した。これより、リター分解者の種多様性の増加は、ボトムアップ効果を通して腐食連鎖における餌生物から捕食者へのエネルギー流量を増加させることが示された。