| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
シンポジウム S09-5 (Lecture in Symposium/Workshop)
環境変動による生物多様性の低下が生態系機能にどのような影響を及ぼすのかを解明することは、生態学の中心課題となりつつある。基礎的知見として、一次生産者の多様性と生産性の関係性については、とくに広く知られている。一方、陸上生態系における主要な生物地球化学的プロセスには、一次生産者が担う光合成生産だけでなく、土壌分解者が担うリター分解や養分循環などが挙げられる。これら土壌プロセスに関しても、生産者多様性が関与していることが示されつつある。しかし、この関与のメカニズムについては未だ不明瞭であり、特に野外生態系が内包する様々なパラメータを考慮したうえで生産者多様性と土壌プロセスの間にある因果関係を調べた例はない。本発表では、北海道知床半島幌別台地における複数の植生を対象に、生物多様性と物質循環の関連を調査した研究を中心にお話しする。植物性リターの易分解性基質の分解速度と難分解性基質の安定性を応答変数に、木本・草本の多様性のみならず微生物多様性や根量、pH・C:N等の土壌環境要因も変数として考慮した構造方程式モデリングを行った結果から、地上部と地下部のプロセスを関連づけることを目的とする。