| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T01-1 (Lecture in Symposium/Workshop)

モニタリングサイト1000の概要と調査成果の公開

佐藤直人(環境省自然環境局生物多様性センター)

重要生態系監視地域モニタリング推進事業(通称:モニタリングサイト1000)は、環境省生物多様性センターが平成15年度に開始した国内最大級の長期生態系モニタリング事業である。わが国の代表的な生態系である高山帯、森林・草原、里地里山、湖沼、湿原、砂浜、磯、干潟、アマモ場、藻場、サンゴ礁及び小島嶼を長期的かつ定量的にモニタリングするとともに、成果を学術研究や保全施策に役立てることを目的としており、現在、100年間継続することを目標に全国約1000箇所で調査を実施している。高山帯ではハイマツ年枝伸長量や昆虫類、森林・草原では毎木調査や陸生鳥類、里地里山では植生や各種動物、湖沼では底生動物やガンカモ類の個体数、湿原では植生や水位、砂浜ではウミガメの産卵上陸回数や砂中温度、磯・干潟では底生動物やシギ・チドリ類の個体数、アマモ場・藻場では植生や藻類の被度、サンゴ礁ではサンゴの被度やオニヒトデの個体数、小島嶼では海鳥の繁殖状況等を調査している。

調査には毎年約4千人の方にご協力いただいており、高山帯、森林・草原等の研究者が主体となった調査のみならず、里地里山、ウミガメ等の市民が主体となったボランティア調査も多いという特徴がある。事業開始から10年が経過しており、これまで得られた莫大なデータは、報告書やデータベースといった様々な形で生物多様性センターのウェブサイト(http://www.biodic.go.jp/moni1000/index.html)等を通じて広く公開しており、学術研究や生物多様性地域戦略策定等の行政施策への活用事例も少しずつ増えてきている。今後は、生物多様性センターのデータベースシステム「いきものログ」にデータを登録した上で、GBIF、OBIS等の国際的なデータベースへの登録も進める予定であり、様々な主体における活用が期待される。


日本生態学会