| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T01-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

行政施策における活用を目的としたガンカモ、シギチ調査の成果のとりまとめ

*植田睦之,神山和夫,守屋年史(バードリサーチ)

モニタリングサイト1000ガンカモ類調査およびシギ・チドリ類調査の調査の目的は、渡り性水鳥の渡り時期と越冬期を通した各種の個体数および増減傾向の把握である。また両調査とも、各サイトの周辺で活動している個人、自然分野の市民グループ、自然観察施設、NPO等により現地調査が実施され、市民と環境省の協同調査であることに特色がある。

ガンカモ類調査は、80のサイトで、湖沼・河川を中心にガン、ハクチョウ、カモ、カイツブリ、バンの仲間を対象種とし、秋と春の渡り時期及び、冬の越冬時期に個体数のカウントを実施している。またシギ・チドリ類調査は、干潟、砂浜、水田、マングローブなど水辺環境を中心にシギ・チドリ類及び干潟に生息するヘラサギ、クロツラヘラサギ、ツクシガモ、ズグロカモメを調査対象種とし、調査サイトは全国に141サイトが登録されている。調査時期は、渡り時期である春と秋、越冬期の冬に各1回から複数回のカウントが実施されており、各種の最大観察数、一斉調査期間の個体数を公開している。

国の施策には研究者による専門的なデータ解析などを経て、レッドリスト種の選定、保護区の検討、重要な渡り鳥渡来地の登録等に活かされている。第4次レッドリスト改訂時に、7種のシギ・チドリ類が新たに記載され、現状が深刻であることを周知できた。またガンカモ類調査サイト、シギ・チドリ類調査サイトの2008年から2012年の5年間の記録にラムサール条約登録基準を適用したところ、各47カ所、59ヶ所のサイトが水鳥の生息状況の観点から新たな候補地としての基準を満たしていた。近年では、荒尾干潟(熊本県)、与那覇湾(沖縄県)などの重要生息地が登録され、保全の促進が期待される。発表ではこうした事例について紹介する


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