| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) G2-20 (Oral presentation)

オカダトカゲの視覚的捕食者認知機構

*鈴木 翔(東邦大・院),長谷川 雅美(東邦大)

被食者は可能な限り早期に捕食者を発見・認知し,適切な回避行動をとる必要がある.視覚や嗅覚,聴覚の中でも,形態的特徴や色彩パタンを手掛かりに,捕食者を視覚的に認知する能力は,安全な距離を保ちつつ早期に捕食を回避するうえで最も有効な手段である.したがって,ある被食者が地域ごとに異なる捕食者にさらされている場合,被食者は地域ごとに異なる捕食者の形態的特徴や色彩パタンを的確に認知していると予測される.そこで,本研究は,伊豆諸島に生息するオカダトカゲ Plestiodon latiscutatusを対象とし,捕食者であるシマヘビ Elaphe quadrivirgataの生息の有無と,シマヘビの色彩パタンが異なる複数の島嶼個体群について,視覚的捕食者認知の地理的な分化が生じているかどうかを,野外実験によって明らかにした.

調査対象は,シマヘビの色彩パタンの異なる新島(シマヘビの色彩はStripe型,Pale-Stripe型,Non-Stripe型の3パタン)と神津島(Stripe型のみの1パタン),それからシマヘビがいない八丈小島の個体群である.この3つの島において,日光浴をしているオカダトカゲに,異なる色彩パタン(Stripe型,Pale-Stripe型,Non-Stripe型)を塗布したシマヘビモデル(粘土模型)を提示し,反応を定量的に比較した.

その結果,オカダトカゲは同所的に生息する捕食者の色彩にのみ反応し,捕食者認知能力は新島>神津島>八丈小島の順で低下していた.この結果から,異なる捕食者相に対して,オカダトカゲの視覚的捕食者認知が適応的に分化していることが示された.しかしながら,この認知がどのようなメカニズムによって発達したのかは不明であり,今後の課題である.


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