| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) H2-22 (Oral presentation)

沖縄島に生息する国内外来種サキシマハブの食性

*寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所),松井創(沖縄県公衆衛生協会)

八重山諸島が原産のサキシマハブ Protobothlops elegansは,1970年代頃から県内の複数の施設により沖縄島に持ち込まれており,1976年に糸満市米須にある施設で飼養していた約100個体が盗難後に放され,その後広がったと考えられている.近年,住民やハブ捕り人への聞き取りや,トラップを用いた捕獲による分布調査が行われ,糸満市を中心に八重瀬町の一部にかけた半径約5kmに本種の生息が確認された.国内外来種であるサキシマハブは有毒で人的危険性が高いことから, 県や市町村により従来から取り組まれているハブ対策の一環として防除作業が行われ,これまでに多くの個体数が捕獲されている.

本研究は,2012-2014年に糸満市と八重瀬町で直接捕獲されたサキシマハブの胃内容物を調べ,沖縄島での食性について推察した.156の胃内容物が得られ,内訳は哺乳類48(31%),鳥類1(1%),爬虫類45(29%),両生類40(26%)であった.ヘビとしては幅広い食性と言える.在来のハブとは異なる食性であり,同属同士の餌の競合はないと思われる.しかし爬虫類の内訳に,天然記念物のクロイワトカゲモドキを含まれており,捕食圧による生息域の生態系に与える影響が懸念される.


日本生態学会