| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) J1-04 (Oral presentation)

生物多様性評価のためのMODISデータによる日本全土の植生現況図作成

*原慶太郎,原田一平,富田瑞樹,朴鐘杰,長谷川大輔,浅沼市男(東京情報大),原正利(千葉県立中央博),平吹喜彦(東北学院大),藤原道郎(兵庫県立大)

国レベルの生物多様性評価に供することを目的に、衛星リモートセンシングデータを用いて5年程度で更新する全国スケール植生図の作成手法の開発を進めている。衛星データを用いて画像分類の手法で土地被覆を分類し、既存の植生データと現地との照合を厳密に行ない、さらに植生学的知見に基づいて凡例クラスを整理した植生図(以下「植生現況図」と称する)を作成する。本研究では、米国の衛星Terraに搭載されたMODISデータを用いて植生現況図の作成手法を検討した。MODISデータの月ごとのコンポジット(合成)データを作成し、それを用いて非階層的クラスター分析のISODATA法により植生域40, 非植生域10の50項目に分類し、以下の9クラスに統合した:高山植生、常緑針葉樹林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、針広混交林、草地、農地(畑地、水田)、都市域、水域。東日本を対象として分類及びラベリングした結果、相観レベルの9クラスの分類では概ね適切な成果を得ることができた。特に冷温帯で卓越する落葉広葉樹林は、日本海側のブナを主要構成種とするタイプと、ミズナラ及びコナラを主要構成種とする植生タイプが識別できた。春から秋までの月ごとのコンポジットデータを用いることで、ブナとミズナラ、コナラの展葉時期などフェノロジーの違いによって抽出されている可能性が示唆された。本研究は平成26-27年度環境省環境研究総合推進費【1-1405】「衛星リモートセンシングによる広域スケール生物多様性モニタリング及び予測手法の開発」の一部を用いて実施された。


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