| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-152 (Poster presentation)

著しい種内形質多様化による広域ニッチ獲得プロセスの解明

*伊津野彩子, 北山兼弘, 小野田雄介, 辻井悠希 (京大院・農), 永野惇, 手塚あゆみ (龍谷大・農), 本庄三恵, 工藤洋 (京大・生態研セ), 井鷺裕司 (京大院・農)

ハワイ諸島の固有樹種であるハワイフトモモ (フトモモ科) は、島内の多様な環境に適応し、幅広い生態ニッチを優占する。樹高や葉形質は、生育地の気温や降水量、土壌堆積年数の変化に伴い、連続的に変異する。本研究では、本種が広域ニッチを獲得した進化プロセスを解明するために、新規に解読した全ゲノム配列と、RAD-seqにより得られたゲノムワイドSNP遺伝子型に基づき、空間遺伝構造およびニッチ分化プロセスを明らかにした。ハワイ島マウナロア山麓の9集団は、集団間分化程度は低い (FST = 0.15) が、低地帯、雲霧帯、亜高山乾燥帯を中心に分布する3個の遺伝的クラスターに分割された。これらのクラスターの分化プロセスを知るために、各クラスターに高い確率で配分された個体 (クラスターあたり5個体) を用いてクラスターごとにアリル頻度スペクトルを算出し、それらのクラスター間差異に基づくコアレセントシミュレーションにより、デモグラフィーパラメータを推定した。その結果、3クラスターは、乾燥帯に主に分布するクラスターが最も早くに分化した後、低地帯クラスターと雲霧帯クラスターとに分化したことが示唆された。こうした本種のニッチ獲得プロセスをもたらした要因は、今後、ハワイ諸島の形成史や過去の気候変動から考察される予定である。


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