| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-217 (Poster presentation)

Complex habitat structure dose not always protect mesograzers in eelgrass bed

*Teranishi, T., Yorisue, T., Isaka, Y., Ahn, H., Nakaoka, M.(Univ. Hokkaido), Bayne C.(SDSU), Tanatitivarapong R.(Univ. Kasetsart)

アマモ場は様々な機能を持つ重要な生態系であることが知られているが、そのひとつとしてシェルター効果、すなわちアマモが作り出す複雑な三次元構造によりそこに住む動物たちへの捕食圧が減少するという事実が知られている。

本研究では北海道厚岸湾のアマモ場に設置した実験区においてTetheringと呼ばれる手法(釣り糸の先に動物を付け実験区に設置し、24時間後に被食された個体数を計数する手法)を用い、アマモのシュート密度とヨコエビ類およびその捕食者であるエビの一種(Heptacarpus grebnitzkii)への捕食圧との関係を調べた。さらにアマモ場の鉛直方向の構造とヨコエビへの捕食圧の季節変化に着目した実験を行った。

アマモのシュート密度は、ヨコエビに対する捕食圧と無相関だったのに対し、エビに対する捕食圧に対しては負の相関が検出された。また、アマモ場の鉛直方向の構造はヨコエビへの捕食圧に関係していなかったものの、季節間での差は見られ、アマモ場の構造が複雑化している時期に捕食圧が高くなっていることがわかった。この結果からヨコエビのような下位の栄養段階に位置する動物に対しては単純にアマモ場の構造の複雑性によって捕食圧が決定するわけではなく、さらに上位の動物との相互作用やそれらの季節変動が複雑に関連していることが明らかになった。


日本生態学会