| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-232 (Poster presentation)

カメラトラップを用いた阿寒白糠地域のヒグマ個体群の繁殖実態の推定

石橋悠樹✴︎(酪農学園大学),鈴木晋悟(浦幌ヒグマ調査会),田中博子(浦幌ヒグマ調査会),柴田悟(浦幌ヒグマ調査会),佐藤喜和(酪農学園大学)

北海道ではヒグマによる人里付近の出没や農作物への食害など人間との軋轢が増加している.阿寒白糠地域では分布周縁部の農地周辺がヒグマにとって魅力的な生息地となっているが,ヒグマの出没や食害対策として行われる駆除のため,死亡率の高い場所ともなっている.出没原因の解明と原因の管理なしに駆除を続けるだけでは,被害が無くなる頃には森林内のヒグマ個体群が大幅に減少していたという結果を招く恐れがある.そこで本研究では,特にヒグマの個体群動態に最も影響するメス成獣に着目し,自動撮影装置を利用して,これまで把握困難であった森林内に生息する子連れメス数,メス1頭あたりの連れ子数の推定を行い,秋の主要作物であるミズナラの豊凶との関係について検討した.阿寒白糠地域の森林(1690km2)に,背擦りトラップと自動撮影装置を併設し,トラップを訪れるヒグマを撮影した.撮影したヒグマの映像から性別・齢級の推定と個体識別を行い,繁殖メスの最低確認個体数や連れ子数の推定を行った.最低確認個体数は確実に識別できた数(NI)と識別の決め手に欠く個体を全て別個体とした数(PI)の2種類に分けて推定した.2013~2015年の繁殖メスの最低確認個体数(NI~PI)は18~34頭,メス1頭あたりの0歳連れ子数の平均推定値はNIで1.50~1.76,PIで1.46~1.73 であった.0歳子数の推定値は2014年に少なく2015年に多い傾向にあったが有意差は見られなかった(ポアソン分布,p > 0.2067).糞中にミズナラが含まれる割合とメス1頭あたりの0歳子の数には正の相関がみられた (NI: r = 0.45, PI: r = 0.99).メス1頭あたりの0歳子数はミズナラの豊凶に大きく影響を受けている可能性がある.


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