| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-276 (Poster presentation)

ヤマガラとシジュウカラの巣の地域間比較

*南 美月,近藤 崇,肘井直樹(名古屋大・生命農・森林保護)

営巣は多くの生物にみられる行動である。鳥類も営巣を行う生物であり、卵を産み、雛を育てるための場所として巣を作る。鳥類は、巣を使うのは繁殖期のみであるという点で特徴的である。鳥類にとって、巣は、卵から雛、巣立ちまでの間生活する環境であり、成長を支えるための場所であるため、鳥類における営巣行動は繁殖に関わる要素の一つであるといえる。鳥類の中でも晩成性の雛は、生まれてから数日間は羽毛が生えていないため、体温の調節ができない。親鳥は一日中抱卵・抱雛するわけにはいかないため、晩成性の鳥の巣では特に外気温に応じて保温性・断熱性を高める必要がある。気温が大きく異なる他調査地との比較をすることで、鳥類の営巣行動についての理解を深めることができる可能性がある。本研究では、地域間で異なる気温、降水量等の環境要因が鳥類の巣に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、緯度の異なる3地点で営巣したカラ類の巣を比較した。

調査対象はヤマガラ、シジュウカラの2種で、いずれもスズメ目シジュウカラ科の二次樹洞営巣性鳥類である。巣は、演者らが調査している愛知県の名古屋大学稲武フィールドのほか、試料の提供を受けた北海道大学苫小牧演習林、および福岡県の油山市民の森の3地点で営巣したものを使用した。巣を巣材ごとに分類した後、恒温器で乾燥させ、巣材ごとに乾燥重量を測定した。続いて、各調査地で記録した繁殖状況のデータや各調査地の気温、降水量等のデータを使用して、さまざまな巣の特性を比較した。

その結果、たとえば、ヤマガラの巣では、いくつかの巣材について地域差がみられた。鳥類の巣にはさまざまな環境要因が影響していると考えられるが、少なくとも気温が巣に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。今後は、重量だけでなく体積や巣の深さなども併せて検討していく必要がある。


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