| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-426 (Poster presentation)

地力とは何か?~地力の生態学的解析~

*安達陽一(弘前大・農生),杉山修一(弘前大・農生)

「地力」は土壌による植物の生産力を反映している言葉であるが、それがどのような要因により決定されているかの研究は少ない。地力を構成する要因として、土壌タイプの違い、土壌の栄養塩量、土壌の微生物特性があげられる。本研究では化学肥料と堆肥施与の影響を受けいていない長期無肥料栽培圃場の土を比較することで、地力に影響を与える要因を明らかにすることを試みた。無肥料栽培圃場18地点の土壌を採取し、ポットによる栽培試験を行い、トウモロコシの生長量(乾燥重量)を地力の指標とした。土壌タイプ、化学性、生物性を調査し、重回帰分析によってそれぞれが生産性へ与える影響を評価した。試験結果は土壌中窒素量が多いほど生産性が高く、窒素の供給力が地力を構成する主要な要因であることが推測された。また有効態リン酸量が高い(20mg<P2O5/100g)もしくは低い(10mg>P2O5/100g)圃場で高い生産性が見られたが、中程度(10-20mgP2O5/100g)の圃場は低いレベルの土より生産性が低く、有効態リン酸量が低くなると微生物などの生物的要因が地力に関係してくることが考えられる。微生物のバイオマスは生産性との間に有意な相関を示さなかったので、微生物の全量より菌根菌が地力と関係していることが考えられる。今後は菌根菌の構成や機能と生産性の関係について研究を行う必要がある。


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