| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-012 (Poster presentation)

キク科蛇紋岩植物のトランスクリプトーム解析

*石川直子(東大院・総合文化), 西尾紗恵(日本女子大・理), 横山政昭(HORIBA), 阪口翔太(京大・院・人環), 永野惇(龍谷大・農,JSTさきがけ,京大・生態研),手塚あゆみ(龍谷大・農), 工藤洋(京大・生態研),伊藤元己 (東大院・総合文化)

地殻直下の超塩基性岩が地表近くまで上昇し、水の存在下で変成作用を受けると蛇紋岩と呼ばれる岩石が形成される。この蛇紋岩を母岩とする蛇紋岩地は世界各地に点在するが、通常は植物の生育が強く阻害されて森林が発達せず、疎林や草原が形成される。蛇紋岩地での植物の生育阻害の原因は、貧栄養・乾燥・高い重金属含有量などの特異な土壌環境にあるとされ、その環境に適応した蛇紋岩植物のみが生育できる。蛇紋岩植物の土壌適応機構について、様々な分類群の植物で多くの研究が行われてきた。それら先行研究の結果によると適応の仕組みは種によって様々であり、さらに蛇紋岩植物と非蛇紋岩植物との生理的相違に関わる遺伝子の同定に成功した例はごくわずかである。

キク科ミヤマヨメナ(Aster savatieri, 2n=2x=18)は本州から九州までの湿潤な林床に生育する日本固有の多年草である。一方、その小型変種であるシュンジュギク (var. pygmaeus, 2n=2x=18) は愛知・三重・高知県の限られた蛇紋岩地に隔離分布し、非蛇紋岩型の祖先種が蛇紋岩地帯に侵入した後に分化したことが、著者らの系統解析により示唆されている。

本研究では、蛇紋岩植物シュンジュギクの土壌適応に重要な役割を果たしたと考えられる遺伝子候補を同定するため、RNA-seq法をもちいてミヤマヨメナとシュンジュギクの根由来の転写産物の網羅的比較解析を行ったので、その結果を報告する。


日本生態学会