| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-040 (Poster presentation)

伊豆から小笠原諸島におけるヒサカキの遺伝的構造

*阿部晴恵(新潟大・農), 須貝杏子(森林総研), 松木悠(東北大・農), 陶山佳久(東北大・農)

ヒサカキ(Eurya japonica)は日本の温暖な地域に広く分布している普通種である。島嶼地域では小笠原のムニンヒサカキ(E. boninensis)(ヒサカキの亜種や変種とされる場合もある)のように少数の種が存在する。ムニンヒサカキは環境省RDBの絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されており、個体数が少なく島内分布域も非常に限られている。このため本研究では、ヒサカキとムニンヒサカキの系統関係を明らかにすること、さらにムニンヒサカキの保全遺伝学的情報を提供することを目的とした。

小笠原(父島、母島)のムニンヒサカキ全個体と伊豆諸島(三宅島と伊豆大島)、伊豆半島、日本海側の佐渡島で採取したヒサカキを対象に、MIG-seq(Suyama and Matsuki, 2015)によって得られた55座のSNP解析を行った。 PCoA解析の結果、小笠原のムニンヒサカキは父島、母島間で遺伝的分化が大きく、各島間での遺伝子流動はほとんどないことが予測された。集団内の遺伝的多様性は高い傾向にあった。ヒサカキとムニンヒサカキは大きく分化しており、遺伝的に別種である可能性が高かった。しかしながら、ヒサカキと同様の遺伝的構造を持っている個体が存在し、人為的な移入による影響も考えられた。ヒサカキの4集団は、集団間に遺伝的な分化は見られず、遺伝子交流が頻繁に起こっていると予測された。本発表では、北硫黄島、伊豆諸島(八丈島、御蔵島、神津島)、九州の友ヶ島のヒサカキと、九州および長崎のハマヒサカキを加えた、ヒサカキ属全11集団についての解析の結果を報告する予定である。


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