| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-057 (Poster presentation)

種子散布形質と遺伝子流動パターンに変異をもたらすクサトベラの果実二型

*栄村奈緒子(京大生態研),上田恵介(立教大理),傳田哲郎(琉大理),永野惇(龍谷大農,JSTさきがけ,京大生態研),本庄三恵,工藤洋(京大生態研),井鷺裕司(京大院農)

固着性の植物にとって、種子散布は個体群間の遺伝的交流および分布拡大のための主要な手段である。種子散布に関する果実形態の種内変異は広い分類群で知られているが、そのほとんどが個体内の変異である。そのため、異なる果実型をもつ果実間で種子散布パターンを遺伝子レベルで評価した研究はほとんどない。クサトベラScaevola taccadaでは、この果実形態の二型が個体間かつ集団内で見られる。すなわち、コルク層と果肉層を持つ型(コルク型)と果肉層だけを持つ型(無コルク型)の2タイプが存在する。コルク層は水に浮くので海流散布、果肉層は動物の餌となるので動物被食散布に有利な形質となる。コルク型個体は砂浜、無コルク型個体は海崖の海岸タイプの集団で出現頻度が高いことから、コルク型と無コルク型では種子散布パターンが異なると予想される。そこで、RAD-seq法から得られた約4千のゲノムワイドな一塩基多型を用いて、果実型間、集団間、および島間における遺伝構造、遺伝距離、および遺伝子流動量を調べた。これらの解析には南西諸島の5島と小笠原諸島の1島における異なる海岸タイプから採集した17集団95個体を用いた。遺伝構造解析の結果、遺伝的分化は島間および集団間で見られたが、果実型間では見られなかった。加えて、遺伝距離と遺伝子流動量の解析結果にもとづき、本種の二型の存在が個体群間の遺伝的交流にもたらす影響について考察する。


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