| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-069 (Poster presentation)

カラマツ、ミズナラを用いたグラニエ法のキャリブレーション

*篠原慶規(九大・農), 小田智基(東大・農), 久米朋宣(台湾大・森林), 飯田真一(森林総研), 邱湞瑋, 片山歩美, 大槻恭一(九大・農)

樹木の生理生態特性の把握や,水資源量の評価など,様々な目的で,樹液流計測に基づく樹木(森林)の蒸散量の計測が行われる。樹液流計測法の代表例の1つとしてグラニエ法がある。グラニエ法では,樹木の辺材部に挿入したセンサーの出力値を樹液流速に換算する際,全樹種共通で利用可能なキャリブレーション式が用いられている。

しかし近年,樹木による道管構造の違い等のため,このキャリブレーション式がすべての樹種について共通に利用できない可能性が指摘され始めている。本研究では,九州大学北海道演習林(北海道足寄町)で採取したカラマツ3個体,ミズナラ3個体を室内に持ち帰り,ポンプで強制的に通水させることで,グラニエセンサーのキャリブレーションを行った。その際,周囲方向に4センサーを挿入し,周囲変動を考慮した。

その結果,ミズナラ,カラマツ共に,共通のキャリブレーション式を用いた場合,実際の樹液流速を大きく過小評価することがわかった。これは,放射方向の樹液流速の偏りなどに起因すると考えられる。講演では,他の樹種で行った結果も紹介しつつ,その要因と今後の展望について,議論したいと考えている。


日本生態学会