| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-184 (Poster presentation)

送粉者機能群多様性と送粉ネットワーク構造の関係

*丑丸敦史,平岩将良(神戸大・人間発達環境)

20世紀後半以降、様々な人間活動によって植物−送粉者群集において、送粉者の種多様性が減少していることが報告されてきた。健全な送粉者群集は、多様な分類群から構成されており、体サイズや口吻長などの大きな種間差(機能の多様性)がみられることが多い。一方で、人間活動による種多様性の減少はこれらの機能的多様性を減少させうる。この発表では、機能的多様性および種多様性が植物−送粉者群集にみられるネットワーク構造に与える影響を、本州および伊豆諸島の海浜植物とその送粉者の群集を対象に研究した。本州の送粉者群集に比べて、伊豆諸島の群集は、長口吻送粉者が少なく、機能的多様性が低いことが我々の研究から示されている。また、それぞれの群集において、送粉者の機能的多様性は季節的に変化する。これらの時空間的な送粉者の機能的多様性のばらつきを利用して、幾つかのネットワークパラメーター(connectance, interaction evenness, niche overlap and weighted NODFなど)が、機能的多様性および、構成種の多様性とどのような関係を持っているのか解析を行った。解析ではヌルモデルを用いてサンプリング効果を補正したネットワークパラメーターを算出して、機能的多様性および種多様性との相関関係を解析した。発表では、これらの解析結果に基づいて機能および種多様性の減少の群集構造に与える影響について議論する。


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