| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-186 (Poster presentation)

双翅目媒花の見過されたシンドローム:黒赤色花の適応的意義

望月昂/ 生態研, 川北篤/生態研

双翅目昆虫は被子植物の重要な送粉者である。双翅目媒植物の送粉戦略は実に多様かつ奇妙なことで知られており、蜜や花粉を報酬とする一般的な送粉共生をもつ植物から、餌や交尾相手に擬態し昆虫を誘引する植物、あるいはラフレシアに代表されるように著しく巨大な花を持つ植物まで、その生態・進化には目を見張るものがある。近年においても種子食性クロバネキノコバエによる送粉などの特筆すべき双翅目媒花の生態が次々と報告されており、更なる研究が待たれている。

発表者らは、早春の山地や、林床、湿地などハナバチ類の活動がさかんでない時期や場所で花を咲かせる複数の科の植物で双翅目、特にキノコバエ類(キノコバエ科およびクロバエキノコバエ科)が重要な送粉者となっていることを発見した。これらの植物は、小さな花、黒赤紫色もしくは緑色の花弁、短い花糸、露出した蜜線などの複数の花形質を共有しており、キノコバエ類による送粉への特殊化に伴い花形質が収斂していると考えられる。キノコバエ類を含む長角亜目昆虫は頻繁に花で観察されるものの、効率的な送粉者ではないと考えられており、これらを主な送粉者として利用する植物は限られた例でしか知られていなかった。しかし、長角亜目昆虫による送粉はこれまで考えられていたよりも一般的な現象であり、被子植物において新規の送粉シンドロームである可能性がある。


日本生態学会