| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-253 (Poster presentation)

老齢樹とツノゴケとシアノバクテリアで創る有限の生態系の理論生態学的研究 I

*藤尾昭弘, 大西 勇 (広島大学(理)数理分子)

# まず、初めに、演題の訂正です。

# ツノゴケ(誤) → ハネゴケ(正)

# です。すいません。

2011年の Z. Lindo 達の論文 ([1]) では、北カリフォルニアのいくつかの北方森林において、老齢樹がノストック(ここでは、特に、シクトネーマ)とハネゴケ(特に、タチハイゴケ、イワダレゴケが優占種)との相利共生関係に影響を与え、さらに大きな相利共生系を構成し、この北方森林に独特な生態系を構成している。そして、さらにグローバルな生態系に対しても、大きな役割を果たしていることが示唆されている。

本研究では、この相利共生系における、生物学的窒素固定機能に着目した機能形成メカニズムや特徴を定性的に説明するような「スケルトンモデル」(スケール効果をもつ2状態系頻度モデル)を導入し、その性質を調べた。生物学的窒素固定は、ニトロゲナーゼの酵素作用で促進され、飢餓状態ではONとなるが、豊富になればOFFとなる。その機能発現のON-OFFがもたらす特徴が、北方森林における固定窒素の産出量の「概周期性」と関連していることが示唆されるが、我々のスケルトンモデルからその定性的な特徴が説明できることを紹介したい。そして、老齢樹の存在からくる機能と構造の強化メカニズムを定性的にある程度、説明できることも併せて紹介したい。

さらに、このような北方森林における多大なノイズのある環境下での窒素固定メカニズムを定性的に見るため、スケルトンモデルを確率過程化(まずは、基本的なポアソン過程を仮定したモデル)し、その構造的な特徴からくるメカニズムのロバストネスに言及したいと考えている。


日本生態学会