| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-283 (Poster presentation)

北海道の森林環境におけるライントランセクト法を用いたニホンジカ個体群密度の推定

*宇野裕之,上野真由美,稲富佳洋,長 雄一(道総研環境研),明石信廣,雲野 明,南野一博(道総研林試)

近年ニホンジカCervus nipponは分布が拡大,生息数が増加し,農林業被害の増加や生態系への影響が問題となっている.北海道では,広域スケールの個体数推定を実施しているが(Yamamura et al. 2008),個体数管理の単位となる森林管理区スケールの密度推定法は確立されていない.そこでDistance Samplingを用いたライントランセクト法(Buckland et al. 2001)により密度推定を行い,既存の密度指標(調査距離当りの観察頭数)と比較した.

調査は,道有林胆振管理区(334km2)及び同釧路管理区(144km2)において2013年11月及び2014年11月に実施した.胆振11コース,釧路10コースを4日間繰り返し調査し,総調査距離は胆振328.8km,釧路352.6km,総観察群数(個体数)は胆振206群(302頭),釧路680群(1,173頭)であった.Distance 6.0(Thomas et al. 2009)による推定密度は,胆振で2013年8.4±1.9(±SE)頭/km2,2014年:4.4±0.79頭/km2,釧路で2013年36.0±4.5頭/km2,2014年:15.6±2.3頭/km2であった.推定密度と既存の密度指標の間には有意な関係が認められた(Model Ⅱ 回帰:R2=0.424,P=0.002).ライントランセクト法を用いた密度推定の長所及び短所,必要な調査努力量等について議論する.


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