| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-284 (Poster presentation)
ミツバチの減少は欧米で問題となっており、近代的農地の増加などの景観要因がその原因のひとつと言われている。日本に自然分布するトウヨウミツバチの亜種、ニホンミツバチ(Apis cerana japonica Fabricius)において、景観要因が遺伝的多様性に与える影響を明らかにするため、地理的な遺伝構造を推定し、その地理的位置、気候環境、および景観要因などから遺伝的多様性を統計模型によって予測した。離島を除く日本の139地点のそれぞれから20ワーカーを採集し、核SSR6遺伝子座の遺伝子型を決定し、それらの父母の遺伝子型を推定した。各地点の2父または1母からなる全国集団において、核SSRの地理的遺伝構造はきわめて弱かった(固定指数0.003)。経度が分布の中心に近く、年降雨量が低く、水田または市街地面積が大きいと、各地点の女王あたり交配父性と餌場あたり採餌コロニーの多様度は高いと予測された。これらの結果は、農地化や市街地化によってニホンミツバチの遺伝的多様性が減少することを支持しない。