| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-338 (Poster presentation)
オットンガエル、アマミイシカワガエル、アマミハナサキガエルは奄美大島のみに生息する稀少種である。外来捕食者であるフイリマングース、森林伐採、林道敷設等によって生息数を減らしているとされ、3種ともに鹿児島県の天然記念物に指定されている。しかし、実際に集団の維持に強い影響を与えている要因など、保全策に必要な情報は明らかになっていない。本研究では、これら3種の繁殖地選択に影響する要因を抽出することを目的とした。奄美大島の森林内に、オットンガエル114か所、アマミイシカワガエル97か所、アマミハナサキガエル94か所のICレコーダを設置し、毎晩22時から3分間録音した。それぞれの繁殖最盛期である7月下旬、3-4月、2-3月、の音声を2週間分ずつ確認し、1回以上鳴き声が聞こえた場合は繁殖地、聞こえない場合は繁殖地に利用しない場所と判断した。また、現地踏査中に卵や幼生を発見した、オットンガエル298地点、アマミイシカワガエル274地点、アマミハナサキガエル20地点についても繁殖地として扱った。これらの地点について、繁殖地としての使用、不使用を目的変数とし、各地点の地形に関する変数(標高、集水面積、斜度、TWI、日射量)、マングース捕獲効率、一定半径(50、100、250、500、1000、1500 m)もしくは集水域内の林道量と平均林齢、を説明変数とした解析を行なった。また、人為影響の少ない地域のデータについては、水温、水質、流量を加えたより詳細な解析を行なった。各種について選択されたモデルから繁殖地選択に影響する要因を特定し、各種の生態情報と合わせて考察する。