| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-349 (Poster presentation)

白山におけるボランティアによる外来植物除去作業

*野上達也(白山自然保護センター), 稲葉弘之(環白山保護利用管理協会)

白山では平成13年~15年に外来植物の分布調査と検討会を行った結果、外来植物の除去作業を行うこととなり、翌平成16年からボランティアによる外来植物除去作業が開始された。ここでいう白山の外来植物とは、本来そこに生育するはずのない植物ということで、国外産の植物のほか低地性の植物であるオオバコやスズメノカタビラといった国内外来種も含んでいる。外来植物の除去作業は、平成16年~18年は石川県主催、平成19年以降は石川県・環白山保護利用管理協会が主催により実施され、平成24年からは環境省等による白山生態系維持回復事業の一環で実施されている。主に白山の有人の宿泊施設である室堂(標高2,450m)及び南竜ヶ馬場(標高2,080m)で実施し、平成27年までの12年間で、室堂では宿泊施設の建物の周囲において、11回、のべ441名のボランティアにより、スズメノカタビラ99.1kg、アカミタンポポ24.0kg(平成21年~)等が除去された。一方、南竜ヶ馬場では宿泊施設の建物の周囲のほかテントサイトにおいて、10回、のべ405名のボランティアにより、オオバコ622.6kg、スズメノカタビラ5.3kg、シロツメクサ2.3kg等が除去された。これまでの除去作業の結果、1人、1時間あたりの除去量が減ってきており、除去作業による効果があがっていると考えられた。また、南竜ヶ馬場のオオバコについては試験区を設け、除去の効果試験を行った結果、除去作業を開始した翌年度には開花個体数は大幅に減少したものの非開花個体数は増加した区も見られたが、除去を継続していくことで個体数は減少しており、除去作業を継続していくことで外来植物を抑制する効果があることが明らかとなった。外来植物除去作業は、除去作業を継続していくことが重要であることから、いかにボランティアのモチベーションを高め、継続していけるかが課題である。


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