| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-359 (Poster presentation)

ライチョウの南限生息地で採集した哺乳類の糞の内容物

*藤井直紀(富士常葉大環防研,静岡ライチョウ研),朝倉俊治(静岡ライチョウ研),増田章二(静岡ライチョウ研),堀田昌伸(長野環境保全研),三宅隆(NPO静岡自然博ネット)

氷河期の遺存種とされるライチョウの生息域は、南アルプス(イザルガ岳周辺)が世界の南限とされている。しかしながら、近年、その生息域の変化を危ぶむ報告もなされており、南限とされるイザルガ岳で繁殖が数年以上確認されていないなど、同地域でのなわばりの消失が心配されている。

環境省が策定したライチョウ保護増殖計画では、ライチョウの生息環境を圧迫している推定要因がいくつか挙げられているが、その要因の特定は現時点で困難とされている。

そこで、ライチョウを捕食している可能性がある生き物の内、哺乳類について文献を調べた。その結果、「大井川上流の哺乳動物(1975)」及び「大井川源流部原生自然環境保全地域の哺乳動物相(1981)」によれば、ライチョウの南限生息地(聖岳周辺~イザルガ岳周辺)とは範囲が異なるものの、合計25種の哺乳類が確認されている。これらの内ライチョウを捕食する哺乳類は、中村(2007)及び大町山岳博物館編(1992)によれば、ホンドキツネ、ホンドテン、ホンドオコジョがある。また2015年には、ホンドザルがライチョウの雛を捕食したことが報告された。

以上のことからホンドキツネ、ホンドテン、ホンドオコジョ、ホンドザルなどを主な調査対象とし、糞を調べることでライチョウの捕食の有無を確認することとした。

調査はライチョウの南限生息地(聖岳周辺~イザルガ岳周辺)を調査範囲とし、登山道を歩いてホンドキツネ、ホンドテン、ホンドザル3種と種を特定できない哺乳類の糞を合計で38個採集し、持ち帰って内容物を確認した。


日本生態学会