| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-360 (Poster presentation)

奄美大島の異なるランドスケープにおけるニホンミツバチ野生群の花資源利用

*Fujiwara, A. (Tokyo Univ.), Yoshida, T. (Tokyo Univ.), Washitani, I. (Chuo Univ.)

80%を超える森林率を誇る森の島、奄美大島において、ニホンミツバチの森林域の自然巣(A:巣周囲2kmの森林率95%以上,オキナワウラジロガシの樹洞、B: 森林率85 %以上,民家の屋根裏)、および海辺の集落内の自然巣(C :森林率60 %以上, 石の墓、D:森林率60 %以上, ハゼノキの樹洞)を対象として、季節毎(早春2月~3月、晩春4月、初夏5月~6月、夏7~8月、秋9月~11月)に巣に持ち込まれる花粉荷を採集し分析した。

A巣では、早春には高木のクロバイ、タイミンタチバナ、エゴノキ、オキナワウラジロガシ、低木のヒサカキ、リュウキュウバライチゴの花粉、秋には、高木のタラノキの花粉が多く持ち込まれていた。C巣では、早春には高木のクロバイ、アオモジ、スダジイ、エゴノキ、タイミンタチバナ、低木のリュウキュウバライチゴの花粉が多く持ち込まれ、晩春から初夏にかけては高木のハゼノキ、初夏から夏にかけては、高木のウラジロエノキ、イジュ、秋には高木のタラノキの利用が確認された。また、初夏から秋にかけては、低木のハマビワと草本のキダチハマグルマ、ボタンボウフウ、ハマボッスなどの海浜性植物の利用も認められた。タチアワユキセンダングサは、季節や場所を問わず利用され、特に秋に利用が増加した。なお、果樹園の比較的近くにあるB,C,D巣では晩春にタンカンの花粉が少なからず確認され、ニホンミツバチがその授粉に寄与している可能性も示唆された。

いずれのランドスケープのコロニーも、多くの森林の植物との生物間相互作用が認められ、分封が盛んな早春には、特に森林性高木の利用頻度が高く、基盤サービスへの寄与が示唆された。


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