| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-405 (Poster presentation)

鳥取砂丘におけるドローンを用いた動物調査手法開発の試み

*伊藤健彦(鳥取大・乾地研), 門脇知弘(鳥取大・地域), 永松大(鳥取大・地域)

現在、無人航空機(ドローン)技術が急速に発展しており、野生動物研究での利用も始まっている。野生動物研究へのドローンの活用法のひとつとして、開けた環境での中・大型動物の観測がある。自動航行システムの利用や送信機上の画面で高度や飛行ルートを確認することにより夜間飛行が可能であり、赤外線カメラ(サーモグラフィー)の搭載により、夜間の上空からの恒温動物を検出・観測が期待できる。そこで、夜間も含む空中からの野生動物検出手法の開発を目的とした。観測試験は、植生がほとんどない砂浜から草原、疎林、農地へと植生・土地利用が変化し、イノシシ、ニホンジカ、キツネなどの中・大型哺乳類が生息する、鳥取砂丘とその周辺でおこなった。市販のドローンに小型サーモグラフィー(78 g)と赤外線動画保存用の携帯型デジタルメディアプレーヤー(88 g)を搭載するシステムを構築し、飛行と動物検出の予備試験をおこなった。この重量をドローンに搭載することにより、ドローン本体のバッテリー持続時間が多少短くなったが、離陸地点から1 km以上離れた場所までの約15分間の飛行が可能だった。また、砂地上であれば、上空約100 mからの動物検出ができた。夜間飛行にも成功し、このシステムによる動物の検出と季節・時間帯による植生別の利用度観測への有効性が示された。今後は観測のための最適飛行高度や、時間帯による地表面温度の違いの影響、植被がある場所での観測精度の検証が必要である。


日本生態学会