| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-415 (Poster presentation)

埼玉県の荒川及び新河岸川の感潮域で発見された特定外来生物イガイ科カワビバリガイについて

*金澤光 埼玉県環境科学国際センター

中国・朝鮮半島に生息する特定外来生物のイガイ科カワヒバリガイ属カワヒバリガイは、1990年代に西日本に、2004年には関東地方に侵入している。2008年には江戸川流域で発見されているが、残念ながら埼玉県に関する情報は非常に少ない。

著者は、2015年3月7日に、戸田市内谷・和光市下新倉地先の荒川で、10分間の目視で数千個体を計数するほどに繁殖している事実を確認した。同3月22日には、朝霞市上内間木地先で10分間の目視で数千個体を計数した。消波ブロックに固着していた位置は、大潮の満水時から水位が1.7m下がった場所から川底までの間と、木工沈床では同1.1mの位置から川底にかけて固着していた。このことから確認作業は、大潮の干潮時に行う必要がある。同4月24日には、干潮時の秋ヶ瀬取水堰下流の右岸では、目視では確認できず、水際に敷設されたブロックの裏側で確認した。この10分間の作業で20個体を採集した。新河岸川では東京外環自動車道の幸魂大橋上流で採集したが、同4月29日に目視では確認できず、石の裏側に固着していた。10分間の作業で1個体を採集し、最大殻長は30mm以上で志木市荒川産と同様であった。さらに、同7月22日には秋ヶ瀬取水堰ゲートに固着した15個体の最大殻長は35.9mmであった。

本種は生活史の初期に浮遊幼生期のプランクトン生活を送る。遊泳能力を持たないので、水の流れに受動的に移動することから、潮汐の影響で干満があるこの水域では、それらが適度に分散し、その後基質へ固着することにより、高密度に生息分布すると予測される。2016年1月11日には河口から20kmの芝川合流の荒川と芝川下流で生息を確認した。生息水域は河口から20kmから35kmにかけて分布していることがわかった。


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