| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-469 (Poster presentation)

気仙沼湾沿岸における溶存態有機物の起源とその時空間変化

*福島慶太郎, 富田遼平, 横山勝英(首都大・都市環境)

河川水中の溶存有機態炭素(DOC)は,主にタンパク様物質と腐植様物質から構成される.そのうち腐植様物質は,沿岸域の生物の必須微量元素である鉄と錯体を形成し,陸域から海域へ安定的に輸送する媒体として注目されている。本研究では気仙沼湾流域において,上流から沿岸河口域までの河川水及び海水のDOCの濃度,三次元励起蛍光特性(EEM)からPARAFAC法によって推定される腐植様・タンパク様の相対値を解析し,DOCの時空間分布を明らかにすることを目的とした.また,土壌抽出液を対象に塩分操作を行うことで,汽水域におけるDOCの変化のパターンと制御要因を示し,陸域から海域までのDOC動態の解明を目的とした.

河川水のDOC濃度及びPARAFACにより3成分に分離された腐植様物質の蛍光強度は,流域内の耕作地の面積割合に強く依存した。DOC濃度及び腐植様物質のうち2成分の蛍光強度が,塩分濃度とともに上昇傾向を示し,耕作地や水田の土壌抽出液よりも針葉樹や広葉樹の土壌抽出液でその傾向が強かった。発表では,沿岸河口域におけるDOCの濃度とその組成の形成過程について議論する。


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