| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-010 (Poster presentation)

環境の違いにおけるヘマトコッカスの状態変化

菅原 玲 (埼玉県立川越女子高校)

ヘマトコッカスは単細胞の緑藻類であり、活動状態(鞭毛を使って泳ぎ回っている)では緑色、休眠状態(細胞同士で群体を作り、動き回っていない)ではストレスから身を守るために、強い抗酸化作用を持つアスタキサンチンを短期間に多量に蓄積し、赤くなることが知られている。

この実験では、赤色の休眠状態のヘマトコッカスが緑色の活動状態に回復するための最適条件を調べた。温度条件(20℃の恒温器内、最高気温21℃最低気温29℃の室温、2℃の冷蔵庫内)と、培養液の栄養塩類濃度条件(500倍、1000倍、2000倍)と光照射条件の3条件ついて実験した結果、20℃で培養液濃度500倍の光照射条件で培養していたヘマトコッカスが最も早く休眠状態から回復した。2℃で培養した場合は他の条件にかかわらず、休眠状態から回復することがなかったため、回復にはまず温度条件が整うことが必要であることがわかった。また、栄養塩類の濃度が高いほど休眠状態から回復するのが早かったことから、ヘマトコッカスが窒素同化を行い、回復するために必要なクロロフィル合成やその反応に必要な酵素合成ならびに酵素作用に、十分な栄養と適当な温度(この実験では20℃)が必要であることがわかった。


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