| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-011 (Poster presentation)

土壌からみるマングローブ域の物質循環 ~マングローブ林土壌と林外土壌の比較研究~

阿部 隼人 (東京都立科学技術高校スーパープロジェクトIRIOMOTE)

私たちは、西表島フィールドワークがきっかけで土壌に興味を持った。そこで、マングローブ生態系の物質循環の一端を明らかにしようと考え、海側の林外の干潟土壌とマングローブ林土壌について、物理・化学的分析を行い、結果を比較した。有機物量は林外が約6.5%に対し、林内は約11%で、表層から35cmまで漸次増加していた。堆積した有機物によって、林内の粒度分布は変化し、還元層は発達していた。電気伝導度の測定から、マングローブ植物のリターは無機塩類の給源になっていることがわかった。また、炭素安定同位体比から、 林外と林内の有機物の源はマングローブ植物であることが明らかになった。さらに、窒素安定同位体比の測定から、 マングローブ植物は窒素固定細菌との共生関係によって、主に大気中の窒素を同化し、有機窒素化合物を合成していることが示唆された。まとめると、マングローブ生態系では、マングローブ植物が有機物を供給し、土壌は供給される大量の有機物を貯蔵し、潮汐による物理的作用や生物との相互作用の中で、この有機物を周辺環境にゆっくりと供給しているという物質循環がマングローブ土壌を中心に成立しているのではないかと考えられる。


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