| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-018 (Poster presentation)

日本産サケ科魚類イワナSalvelinus leucomaenisの背面部白色斑紋と地理的分布の関係

*松田 空, *門田 啓, *中村 彰甫 (成蹊高等学校), 荒井 靖志 (成蹊中学高等学校生物科研究室)

遡河回遊型サケ科魚類イワナSalvelinus leucomaenisは北海道から東北にも分布するアメマス、本州に広く分布するニッコウイワナ、本州中部太平洋岸河川、紀伊半島に分布するヤマトイワナ、西中国地方のみに自然分布するゴギの4亜種に分類される。ヤマトイワナは白斑紋が無い個体が多いとされ他亜種は背面側を中心に白斑紋が多数散在する。イワナ以外の日本産サケ科魚類には白斑紋は無い。そこで白斑紋サイズや有無と地理的分布や物理的要因との関係を比較した。斑紋の特徴はKawai et ai. (2000)の斑紋指数を参考とした。調査期間は2012年8月~2015年9月でアメマスは北海道、青森、秋田、新潟、岩手県、ゴギは島根県、ニッコウイワナは山梨、鳥取県、ヤマトイワナは長野県で釣獲採捕した。mtDNA全周塩基配列分析を成蹊大学久富研究室に依頼し比較試料とした。地理的要因と白斑紋指数には有意な関係は認められないが標高の高い地域、河口からの距離の遠い地域産の個体ほど体サイズに対する白斑紋の小径化、消失傾向があることが明らかとなった。mtDNA全周塩基配列からの分子系統樹と白斑紋指数の間には関連性がない。白斑紋の小型化、消失はその陸封された場の底質色彩等なんらかの環境への適応と推察された。


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