| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-038 (Poster presentation)

アリの道しるべフェロモンの分析

今飯田 果歩 (横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)

最近、クロアリによる被害が増加しています。家の中に大量発生してしまうというものです。被害報告の多くは女性からで、「気持ち悪い」というものです。その対処法として道しるべフェロモンを活用でいないかと考え、まずこのフェロモンについて詳しく知るために研究を始めました。

道しるべフェロモンとはアリがエサを見つけた時に、その場所を仲間に伝えるために分泌する物質です。アリの行列のもとになります。

実験には、ガスクロマトグラフィーを使用しました。学校の敷地内で捕まえたクロアリを潰し、メタノールを加えたものとヘキサンを加えたもの、2種類の液体を用意しそれぞれを分析します。現れたピークひとつひとつについてシミラリティ検索をした結果、道しるべフェロモンと思われる物質を発見しました。

物質の特定にあたっては、インターネットで調べて見つけたハキリアリの道しるべフェロモンの構造式を参考にしました。この構造式とシミラリティ検索で発見した物質の構造式(ヘキサンを加えた方の液体のもの)を比べると構造が非常に似ていました。このことから、道しるべフェロモンと思われる物質の特定に成功しました。

今後は、実際に生きているアリを使って本当にガスクロマトグラフィーで発見した物質に反応するのか検証したいと考えています。さらに、種類による違いはあるのか、また同じ種類でもコロニーによる違いはあるのかなどさらに詳しく調べていきたいです。


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