| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T10-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

地下水から検出される福島事故由来の放射性セシウム

*静間清(広島大 工), 藤川陽子(京大原子炉), 桜井雄志(NPO法人ふるさと)

南相馬市の上水は3ヶ所の浄水場から供給されており、これらの水源にはいずれも地下水が使用されている。また、南相馬市内の多くの民家では上水の他にボーリング井戸の地下水が生活用水に利用されている。我々は2014年9月より半年ごとに南相馬市の上水6か所(採水場所T1~T6)と地下水11か所(G1~G11)について137Csおよび134Csの測定を続けている。水の採取は現場において約1Lの水をポリエチレン容器に直接採取し、ナフロンシート上に蒸発乾固させた。このシートを折りたたんで直径 15 mm . 高さ 40 mm の円柱形とし、井戸型Ge検出器により約80000sのガンマ線の測定を行った。すべての上水から137Csが検出された。上水中の137Cs濃度は2014年9月で4.4 -13.4 mBq/L、であり、飲料水の基準値10 Bq/L に比べて、1/400以下であり低い値であった。半年後の2015年4月には1-11 mBq/Lに低下し、1年後の2015年9月26日では1-9 mBq/L に低下した。また、T5, T6では不検出であった。一方、地下水中のCs濃度は2014年9月で2.5~25mBq/Lであり、しかもG7, G8, G9の3ヶ所では不検出であった。半年後の2015年4月にはCs濃度は2~15mBq/Lに低下したが、不検出であった3ヶ所から137Csが検出された。1年後の2015年9月にはCs濃度は0~12mBq/Lであり減少傾向にある。地下水はG3が100 m、G9が75 mのボーリング井戸であるが、他はおよそ5 mの深さの井戸である。地下水の水質検査結果についても報告し、Csの地下水への浸透のメカニズムについて検討する。


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